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転妻カラス

低収入転妻の苦労、倹約、労使・貧困問題についてぼやくブログ

配転について・東亜ペイント事件

介護問題が他人事ではなくなってきた転妻カラス家。

先行き不安なことばかりだ。

 

現状は、家族の看護・介護を理由に転勤命令を拒否しても、懲戒解雇になる会社が少なくないらしい。

懲戒解雇は、犯罪を犯したり、機密情報を漏らしたりした場合の解雇と同じ処分だ。

例え雇用契約に明記されているとしても、当事者には厳しい。

 

降格人事は仕方がないと思っている。転勤なしの社員と、転勤ありの社員に待遇の差があるのは理解出来る。

でも、介護等の事由があっても、懲戒解雇なのか。

単身赴任は経済的、心理的な負担が大きい。育児、看護、介護が事由での単身赴任ならなおさらだ。

これが長期にわたれば貧困に直結するケースもあるかもしれない。

育児や介護は万人が関係する事由なのに、現状では前提されていない制度になっている。

 

家庭や個人の事情を優先しなければならない場合、会社を辞められる方も多いようだ。

転勤できない社員続出 - NHK クローズアップ現代

 

転勤を受け入れて働く転勤族にも、あるとき転勤をやめなければならない時期が生じる。

 

会社は業務上の必要があって社員を転勤させているはずだ。

社員が離職すれば不利益が起こる。

そのためにも、解雇や自己都合退社にならなくて済むような制度が欲しいものだ。

 

 現状の一般的ケースだと、転勤は会社と個人の契約問題になっていて、個人の不利益とのかねあいは、個々のケースを見て裁判などで争うしかない。

 

転勤命令の有効性について、一から学んだことをまとめてみることにした。

 

まず、転勤命令が有効でないとみなされる場合は、次の三つ。

 

1 業務上の必要性が認められない場合。

2 不当な動機・目的による場合。

3 労働者の不利益が通常甘受すべき範囲を超えた場合。

 

以上の場合は、使用者の権利の濫用とみなされる。

 

転勤によって不利益を被る労働者は、この三点を争点にして裁判で争うことになる。

 

家族の看護・介護を理由に転勤を拒否して争われた裁判のうち、有名なものに、

東亜ペイント事件

北海道コカコーラボトリング事件

日本電気事件

などがあるらしい。

 

このうち、東亜ペイント事件のみ、労働者側の訴えが認められなかった。

労働者側の訴えが認められた他二件のケースは、

・長女がうつ、次女が精神運動発達遅延、両親は体調不良。四人の介護を当人がおこなっていた。(北海道コカコーラボトリング事件)

・家族に要介護者がいる他、家業の手伝いをしなければならない立場に置かれていた(日本電気事件)

だった。

 

東亜ペイント事件の場合、

「高齢の母(71歳)、妻及び幼い子(2歳)とともに堺市内に居住し、母を扶養していた。母は生まれてから大阪を離れたことがなく、保母をしている妻は保育所への運営委員として仕事を辞めることが困難であった」

という事由があったが、業務上の必要性など、他の諸々の点なども総合的に判断して、会社側の転勤命令が有効とされた。

 

この判決も、転勤族にとり、厳しいものだ。

 

家族に病人や要介護者がいても、それがたったの一人であるなら、社員は看護を「誰か」に任せて転勤命令に従わなければならないことになる。

その「誰か」とは通常は妻か子どもか兄弟だ。介護サービス等を利用しながら、当人は「誰か」に任せて転勤命令に従わなければならない。

幼い子を抱えて何かの事情で単身赴任になる場合は、子どもの世話を夫婦いずれかの一人が見なければならない。

 

ケンウッド事件のケースでは、保育園の送迎の必要があるフルタイムの女性が転勤命令を受けて争われた。

保育園児を持つ母親に対して子供の送迎等に支障を生じさせることになる異動も、「通常甘受すべき程度を著しく超えるとはいえない」と評価されているらしい。

 

よほど重篤なケースでない不利益は、「通常甘受すべき程度を著しく超えるとはいえない」と判断されているのが、現状の社会的通念のようだ。

この抽象的な用語の解釈に、多くの転勤族が悩まされていると思う。

通常甘受すべき程度」とは、いったい何?

 

他病院へ転院させれば病状が悪化すると予想される病人を抱え、当人しか看護者がいないとしても、業務上の必要性が認められれば、転勤は有効とされるのか。(転院そのものが簡単ではないし、介護施設等を利用している場合は利用するのに何年も順番待ちだったりするのだが。)

 

子どもに先天性の病気があり、特定の病院に通院しなければならないとして、夫が転勤すれば単身赴任になるが、治療費に加えて二所帯の費用で生計が成り立たなくなる。その場合はどうなのか。

 

本人に通院先が限定されるような特定疾患があっても、「通常甘受すべき程度を著しく超えるとはいえない」とみなされるのか。

 

現状では、どんな不利益も、裁判で争ってみないことには判断がつかないことになっている。

また、労働基準監督署に相談したり、団体交渉したりするしかない。

 

今後もそれでいいのだろうか。

 

個人の不利益に関して、裁判を起こさずとも判断がつくような指針が欲しい。

 

「通常甘受すべき程度を著しく超えるとはいえない」とみなされれば、自己都合退職するか、解雇されるしかないのか。

会社も業務上の必要があって転勤命令を出しているのに、社員が会社が辞めれば、不利益だと思う。

だからこそ、会社を辞めなくて済むような配慮が欲しい。

業務上ペナルティが必要なら、降格人事の手段もある。(これも問題があるかもしれないが、いったん横に置いておく。)

 

転勤制度自体は業務上仕方がない。

ただ、業務上の必要性が高いと言えない転勤、

正当な事由があった場合の転勤拒否→即解雇は、

使用者権利の濫用という見方もあるようだ。

 

 (以下、次にあげるサイトからの引用です。)

 

東亜ペイント事件の判決について

本判決においてはXの受ける不利益は「転勤に伴い通常甘受すべき程度のものというべきである」と判事しているが、これには賛同できない。判旨によれば単身赴任単身赴任にともない労働者が受ける不利益(夫婦別居、家族の介護不能、子供の保育・教育の支障)は「通常甘受すべき程度の不利益」となってしまうが、それではあまりに労働者にとって酷ではないだろうか。単身赴任の問題ですら「通常甘受すべき」とされてしまうのでは労働者の不利益が認められるような事案はごく限られたものとなり、一方使用者は業務上の必要性を理由に配転命令をほぼ無制限に行なうことが可能となる。これでは労使対等に反するのではないだろうか?

 

以上の点を考えると、当該配転命令は濫用ではなく有効であるとした本判決には賛同できない。労働者にとってこれほど大きな不利益をもたらす配転命令に関しては濫用であり無効とするか、使用者に高度の業務上の必要性を求めるなどして労使の利害調整を行なうべきである。また本判決ではふれられていないが、配転命令を行なう際には使用者は労働者に対して不利益の軽減・回避措置といった十分な配慮を行い、労働者の私生活の自由を保障する義務があるのではないだろうか。

また、特約説の立場に立って考えると、本件に関しては「労働者が使用者に労働の種類・場所の決定および変更の権能をゆだねる旨の特約」はなく、本件配転命令に際して労働者の合意もなかったので本件配転命令は無効であるものと考えられる。

 

 この記事は、以下を参考にまとめました。

配転 ~東亜ペイント事件~